くまんち

なんてことない、日々のこと

スモールステップ

息子のスイミングスクールを見学している。

4歳になる春から始めたので、もう1年と3ヶ月。顔を水に5秒浸けるというテストに合格して誇らしげに合格ワッペンを手にしてから、今は補助なしで背面で蹴伸びすることとバタ足で5m泳ぐことに挑戦している。

見学といっても不真面目な私は、こうして時々スマホに目を落としつつ、プールに目をやりつつ…気もそぞろにのんびりしている。目が合うとぴょんぴょんと跳ねて手を振る息子に『見てるよ〜』と手を振る。

 

「ここのスクールはスモールステップで、いいですね」

通っていたスイミングスクールが潰れて移動先を探しているというママ友に子どもたちの通うスクールを紹介したところ、こう言われた。

ここしか知らない私は少人数制で手厚く見てくれることと先生方がみな明るく優しくスパルタに指導してくれることをありがたく思っていたものの、カリキュラムが他のスクールよりも細かく区分されていることには気づきようがなかったので、へぇ〜と改めて感心してしまった。

とにかく、子どものやる気を引き出すのがうまいのだ。幼稚園児にみっちり1時間泳がせる(水遊び含む)なんて、親には無理だ。ありがてぇ。

 

大人用の25mプールは身長110cm前後のおちびさんたちには深すぎるので泳ぎ始めるところとゴールにのみレーン幅の広い台が沈められて底上げされている。息子の練習するレーンにはスタートから5m先に台がある。

 

息子が両手をピンと伸ばし、頭の上で指先を重ねて構えた。胸を膨らませるように大きく息を吸って地面を蹴って、水面に顔をつける。

わずか5m。

バタバタと白い飛沫を立てるもののなかなか前に進まない。

バタバタバタバタ、辿々しい飛沫をあげて漸く台の上に立った息子は、先生の顔を見る。

先生が両手で大きく丸を作った。嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねた息子は私に手を振る。

 

スモールステップ。

 

小さくたって、確かな前進。

 

ありがたいなぁ。