探検隊は海を目指す
「ね!?あの、だんだん海から離れてきてるんだけど…本当にナビ合ってる!?」
「合ってる!次、うにゃ〜んと曲がって200m先右折」
「うにゃんと曲がるってこの急カーブのこと?山に向かってるんだけど、いいの??」
「いいの!おぉ〜くねくねカーブ〜」
探検隊が目指すのは秘境…というほどではないけれど、10うん年前に購入した車に搭載されたカーナビには登録されていない海。
高松のお殿様がサマーバケーションしていたという御殿の浜。
「本当に?ねぇ、道がどんどん狭くなってきてるんだけど…」
田んぼと田んぼの間をすり抜け、民家と民家の間を…こ、ここ…住んでいる人以外が通っていいのかしら?車を停めて、娘に渡したスマホのナビを確認したいけれど、道が細く、なかなか停められそうにない。
「着いた、らしい…よ?」
右も左も田んぼ。
「絶対違うじゃん!!」
「お母さん、どこにナビさせてんのよ!!」
「うっかり行先変えちゃったんじゃないの?」
「そんなことないもん!!」
「なんか…ぼく、気持ち悪くなってきた…」
ナビは登録した場所でないところを行き先にしていたので、改めて修正する。
「全然違うじゃん」
「もう、屋島のたぬき(平成狸合戦ぽんぽこにも出てたよ♪)に化かされたんじゃないの?w」なんて冗談を言いながら来た道を戻っていると、左手にたぬきの石像…
「タヌキ!!バカにしにきた!!」と息子が大笑い。「デッカ!!タヌキ、デッカwww」
「何がツボなの、怖いんですけど。めっちゃ笑うやん」
「おねーちゃん、うんちばかおしっこ」
「はぁ!?」
中学生と幼稚園児の凸凹姉弟の会話ははちゃめちゃだ。
「その坂まっすぐ上がって、左折だって〜」
「はいよ〜♪」
見えてきたのは、小さな脇道。車一台分の山道。
「…ねぇ、本当に?」
「ナビはそう言ってますぅ!」
じゃあ、信じますぅ!!意を決して山道にハンドルを切る。車一台分の細い山道を恐る恐る走る。普段、買い物の往復くらいしか運転しない私…あぁ、どうか対向車、来ないで。この細い坂道をバックで下るなんて無理すぎる。
祈るようにしばらく走ると駐車場が見えた。先客も2台ほどある。
ほ。到着。
御殿
寛文8年(1688年)高松の殿様松平賴重公(水戸黄門の兄)はここに別荘を造った。晩年ここで病気になり、高松に帰って死ぬまで30年ほどの間、毎年3・4ヶ月は暮らした。山の上の古御殿無くなったが、浜の御殿はずっと残っていて、代々の殿様もよく来て泊まった。
番の裏と峠やこの西の丘の上にも番所があり御殿を守っていたが、明治5年1月4日焼けてしまい、井戸や池、石垣と東の丘の上の赤堂の蛭子神社だけが残った。
という立て看板を見て、『水戸黄門の兄!』とちょっとテンションが上がる母と「水戸黄門…?あー印籠の人」と薄いリアクションの娘。『お母さん、二代目黄門さまが好きなの。目元が涼やかで気品があるのにほんのり意地悪で、仕込み刀でばかすか戦うし…』という思いを一人呑み込む。
坂道を下って…
海ーーーーーーー!!
近くに石の産地があるためか砂浜の石がキラキラしている。
う〜ん、うまく写真に撮れなかったけど。
「お母さーーん、海、塩味ぃーー!!」
前回海に行った時には2歳だったので、息子にとっては初めてに近い海だ。一緒におへそまで海に浸す。ひっと息を吸って、そうだ。海ってこんな感じ、と思って笑う。
我が家を含めて4組ほど。人も少なく、静かでいいところだった。
来る時には『今日限り!今日限り!!』自分を励ましながら走るような道だったけれど、子どもたちの笑顔を見ながら、また遊びに連れて行こうと思えた。
「やだーーー帰らないーー!!」という子を車に詰めて帰る。こうやって子どもたちに「ふるさとの大好きな場所」の思い出を増やしてやらなくちゃな。
砂の処理やら何やら…へっとへとでブログを書けなかった昨日のお話です😊