くまんち

なんてことない、日々のこと

10文字メッセージ

週末、娘の友達の誕生日だった。
親同士、連絡先を交換していない友達だけど、なんとかして誕生日に「おめでとう」を伝えたいらしい娘。

「月曜日に言えばいいんじゃない?」
「う〜ん…」
月曜日に渡すバースデーカードも作ったし、充分お祝いの気持ちは伝わると思うんだけどなぁ

「あ!」

娘は任天堂スイッチを起動させ、自分のアカウント名を編集し始めた。
トラブル防止の為か、娘のやるゲームにメッセージを送る機能はない。
が、フレンド登録した者同士はお互いがオンラインか否かを確認できる。

「お・た・ん・じ・ょ・う・び…」

アカウント名にメッセージを書いて伝えようというわけだ。なるほど!

「文字制限、あるん?」
「ある!10文字」

それは厳しい!

「ダメだぁ〜お誕生日おめでとうってひらがな入らない!」
「ハッピーバースデー、は?」
「は・っ・ぴ・ー…」

一文字ずつ指を折りながら数える姿は祈りにも似ている。
少ない文字数に思いを込めたい、という小さな願い。

あれこれ悩んで「名前ちゃんおめでとう」と書いていた。
いつもは[苗字さん]と呼んでいる友達だけど文字数の関係で[名前ちゃん]
恥ずかしそうに「変、って思うかなぁ?」なんて言っていたけど、いいんじゃない?
なんだかにやにやしてしまう。

お誕生日の子はなかなかオンラインにならない。

「お誕生日だから、お出かけなのかもよ?」
「うん…気づいてくれるかな?」
「きっとね」

そのうち他の友達も娘の意図に気づいたのか、アカウント名を「ハッピーバースデー!」と変更した。
「あ、◯ちゃんも同じことしてる!」

しばらくすると、お誕生日の子もオンラインになり…

「いえーい!」というアカウント名に変わった。

それを見た瞬間、娘は笑い、私はなんだか「いいなぁ」と思った。

 

人と人との距離は、案外もどかしいくらいがちょうどいい。
そんな気がする。