ギックリ腰のこと
ギックリ腰になった。
別に特別重い物を持ったわけではない。年中カンガルーのように息子を抱っこしてるとはいえ、思い当たるきっかけもなく…
目が覚めたら、ギックリ腰であった。
正確には腰ではなく、尾骶骨の辺り。
「おしりが割れる‼︎」なんて言ったら
「元々割れてるよ〜」と小3の娘が笑った。
おかしいけど笑い事ではない。本当におしりがバラバラになりそうな痛みなんだから!
幸か不幸か、休日で近所の整形外科は閉まっている。休日外来も考えたが、痛すぎて動きたくない。というわけで、明けてから抱っこ紐に息子を抱えて近所の整形外科に行ってきた。
多少痛みは引いたものの、立ち上がる時や座る時、初動時に痛みが走る。
甘えん坊の息子は抱っこじゃないと泣くし、抱っこしたままはやはり疲れる。とはいえ、座れば立つ時に激痛が走り、寝ていても痛くて仕方ない。抱っこして歩き回るのが一番痛みが弱い。部屋の中を無駄にうろうろ…やはり疲れる。
…もはや、どうしようもない。
お医者さん、助けて!その一心で整形外科へ向かった。
結果、授乳中の為、痛み止めも湿布すらももらえなかった。正確には湿布は効かないからと出されなかった。
臼蓋形成不全だと教えてもらった。
先天的なものだが、筋肉が衰え始める30代以降に症状が出てくるのだそうだ。
「子どもを抱っこして毎日一日中動き回ってた疲れが腰にきたのでしょう。腰や神経に異常が見られないから、痛みはじきにひくだろうけど、安静にしておくしかない。安静に、は難しいかな…」
お医者さんは気の毒そうに言った。
「無理しない程度に頑張ります」
帰り道、離乳食をモリモリ食べる息子は断乳しても大丈夫だったなぁ、と思ったけれど、家に着くなり幸せそうにおっぱいを飲む顔を見ていたら「まぁ、頑張ろう」と思った。
たまたま電話をくれた母にこの話をしたら、逆子で生んでしまったせいやろか、と謝られた。
母の骨盤に足を挟み、お腹の中で立ち続けていた胎児の頃から筋金入りのうっかり者な私は誕生時、足が歪んでいたそうだ。
歩けなくならないようにと産褥期からずっと赤ちゃんの私を整体?に連れて行ってくれたというのに、おかげさまで何の不自由もない私に、母は「ごめんね」と言うのだ。
その後、祖母からも電話があった。
「私が原爆にあったから…」
ああ、“お母さん”って生き物は
かなしいな、と思った。
母も、祖母も、そして私もやっぱり“お母さん”なんだ。
それが嬉しく、誇らしい。