コワレコワレテ
形有るもの、いつかは壊れる。とはいうものの、とはいうものの、ですね…聞いてください。
今年度、我が家の故障履歴。
10月末、オーブンレンジ火花を散らす
11月、某月食の日、走行中に愛車エンジン故障
11月第二週 新品のオーブン、内部に傷あり
11月第三週 洗濯機、排水エラーで床水浸し
11月第四週 傷修復後のオーブン、センサー異常
(その後、クリスマス過ぎまでメーカーと揉める)
12月30日、手に入れたばかりのPS5、初期不良の為修理へ
小ネタだと私が操作したコンビニのコーヒーの機械がマシントラブルでコーヒー代が返金されるなど、まぁ、笑っちゃうくらい故障が続いた。
もう、なんなの!?お母さんからヤバイ電磁波出てるの??と嘆くのを「今年もあと少しよ!」と娘に励まされながら年を越す。
そして明けた元日。初詣のおみくじは…
パンパカパーン♪ 大吉 ♪
ゲンキンなもので「大吉」の文字一つで『ようやく、厄が晴れたかな?』なんてほっとしていた。
ほっとしていたのだ。
はい。IHクッキングヒーターが故障しました。
フハハハ、我が家は米を圧力鍋で炊くようになって炊飯器を処分したので、米すら炊けぬ!炊けぬのだー!!
夕飯の準備中のことなのでおおわらわ。
急ぎハウスメーカーに相談して、住宅保険会社に連絡してメーカーに修理を依頼してもらった。
久しぶりの買ってきたお弁当…お、美味しいけどね(涙)
夫に「あなたの使い方に問題があるんじゃないの?ほんと詰めが甘いというかなんというか…」と小言を言われる。夫の顔ももう、呆れというか笑っている。
心を入れ替えます…でもな…引きが悪いというか、なんだか自分で舵取りできる範囲外でのトラブルが続いている、という感覚もあるのだ。なんて言うと、反省が足りないようだけど…
2日ほどオーブンレンジだけでどうにか食生活を成り立たせていたが、一昨日、修理業者さんが来てくれた。基盤が壊れているようだけど欠品中で取り寄せに時間がかかるらしい。
「代用品を持ってきましたので、その間こちらを使ってください」
と作業に取り掛かるのだけど
「あれ、この型はこっち…いや、ここかな?あれ…」なんて言いながら作業をなさる。ガシャンガシャン、カランカラン!なんて音がするたびに「あ…」なんておっしゃる。
ハラハラするどころではない!
「いやいやそんな…」と言われながら作業を手伝う。あー私と同じタイプのうっかりものだ。ちょっと、と道具を脇に置いて「あれ?どこだっけ?」が多い人だ。我が家のIHを傷がつかないように梱包し、トラックに移動させるも…なんかいろんな金具が落ちている…これはなんのパーツ??
「あ、これは…設置する時の金具で…えーっと…」困った顔でトラックを見つめている。
「こちらで預かっておいて大丈夫ですか?」
「あ、じゃそうしてもらって!」明らかにほっとした顔…ひぃ〜不安…
「あれ?コレ、違うやつのだ…すみません!別のコンロのパネル持ってきちゃったんではまりません。でも!使えますんで…」と操作を教えてくれる。「ここがグリルの操作パネルですね〜グリル…」グリルの中に入れる底板がない。「あ…れ、なんでないんだろう…グリル、使えないですね…」
なんやねーーーーーん!!(心の叫び)
そして、排気口パネルもない。
どないやねーーーーん!!!(エセ関西弁)
「では、修理ができましたらご連絡いたしますね!」
「お願いします。よ、よろしくお願いします」
思わず二度言ってしまった。頼む、トラブルはこれっきりで…これっきりでお願いします!
うっかりだけど人の良さそうな修理業者さんが帰ったあと、どっと疲れが出てしまった。
マジで、トラブルはこれにて打ち止めでお願いします…
聞けば、旧暦だと1月22日が元日なのだとか。
旧暦でも年が明けたので、故障連鎖はこれにて打ち止め!てことでお願いします!!
初雪の日
昨日のことだ。
寒い、寒いなんて言いながら洗濯物を取り込んでいると視界の端で雪が舞ったような気がした。
見間違いかと目を凝らすと、北風に混じって白い綿雪がちらちらと…わ!やっぱり!!
「雪が降ってきたよー」
取り込んだ洗濯物を暖かいリビングに運びながら知らせると、子どもたちは飛び上がって窓の外を見に行った。
「えーほんと?雪、わかんないなぁ」
「ほんと、ほんとー」
2階のベランダに干した小物類を取り込むため階段を上がっていると、玄関の開く音が聞こえた。
「わーーほんとだ!雪だーーーー!!!」
息子の大きな声。追いかけるように「上着、上着!」と娘の声が続く。
お姉ちゃん、助かるよ〜と感謝しつつベランダに出ると、隣のお家の小1の子が「ほんとだ!雪降ってるー」と飛び出すのが見えた。反対隣の兄弟も白い息を吐きながら走り回っている。
雪だ、雪だと笑う子どもたちの声を聞いていると、私の中の“こども”も一緒になって笑いだす。
雪雲はあっという間に北風に攫われ、積もるまでもなくやんでしまった。
雪が珍しい地域の、初雪でした。
ただそれだけなんだけど、雪が舞うとなんだかウキウキ。
でも、温かくして風邪には気をつけなきゃね。
楽しい冬を過ごせるように。
夜になったら幼稚園へ
5歳の息子が幼稚園バスから降りるなり、「タイムマシンを作らなきゃなんだ」と言う。
突然のことに面食らってしまったけれど、息子の顔はいたって真剣。
※以下、人物名は全部「仮名」です。
「はるくんとサナちゃんと約束したんだ。今日、夜になったら幼稚園に集まろう!って」
同じバスを降りた友だちのたっくんが「そんなら、タイムマシンじゃなくて車で行けばいいじゃん」と言う。
「ダメなんだ。3人でタイムマシンに乗るために集まるんだよ」
「タイムマシンに乗って、どこ行くん?」
「集まった時に話し合おうってことになったんだけどー」と答える息子は、タイムマシンの作り方のことで頭がいっぱい!という顔をしていた。
「ぼく、4人乗りで作るからさ、今日うまくいったら次、たっくんも一緒に行こうね!」
「いーけど、ほんまにできるんかなぁ」
「やってみなきゃわからないけどね!お母さん、うち電池ある?いっぱいいるかも!!」
一緒に帰るたっくんのお母さんと、夢がありますね〜なんて笑いながら「また明日」と別れた。
帰るなり、ダンボールを発掘する息子。
おやつも食べずに黙々とタイムマシンを作る。
なんて愉快で夢のある約束だろう。夜中に子どもたちだけで冒険だなんて、まるで『ドラえもん』みたいじゃないか。幼稚園で盛り上がっただろう様子を思い浮かべながら私は息子の作業を見ていた。
ご覧ください!我が家の発明王は一人でこんな大物を作れるようになりました。
写真に収まっていないけれど、ラピュタの空賊たちが乗っていたフラップターのように連結しています。タイムトラベル中ははぐれないように連結するけれど、目的地では個々で移動できるんだとか。いいね、いいね!なかなか考えられている!(親バカ全開)
「あとは、夜になるのを待つだけだ!みんなと約束したからね!」
早く、早くと急かす息子に晩ごはんを食べさせながら、言いにくいけれど「夜になっても、幼稚園につれて行けないよ」と伝えた。
「なんで!!」
「夜はね、幼稚園開いてないから。それに夜中に子どもを外で遊ばせたりはできないよ。それは、はるくんのお家もサナちゃんのお家も一緒だと思う」
「でも、約束は守らなきゃ!」
「たぶん、はるくんもサナちゃんも来てないよ」
「わかってるよ!そうだと思うけど、でも、ぼくは、約束したことはちゃんとしたいんだよ!!はるくんたちが来てるかどうかはいいの!」
一人でも行く!!と玄関で号泣して今にも飛び出しそうな息子を膝に抱えて、ぼかぼかに殴られながら、息子のこのまっすぐな思いに対して、私の制止する理由はなんてつまらないんだろう、と思った。
この子は自分自身のために友だちとの約束を守りたいのだ。友だちがどうするかは大した問題ではなかったのだ。
夜の幼稚園に連れて行き、寒空の下、来るはずのない友だちを待つことは、彼を傷つけるだろうという思いが私にはあった。でも、大人の理屈で「来るはずがないから」と約束を破らせることこそが彼の誇りを傷つけたのだ。
難しいなぁ。
先回りして子どもを守ろうとするのは子どもの為にならないとわかっていながらもつい、出てしまう。だから正直に友だちがいなくてがっかりするあなたをお母さんは見たくなかったんだと打ち明けて謝った。泣き疲れた息子はいろんな感情を飲み込んだように、ただ「うん」と答えた。
私が思っていたよりもずっと息子の心は強く気高い。彼の中に5歳なりの男気のようなものが育っていることが嬉しい。
そのまままっすぐ。君らしくまっすぐ大きくなっておくれ。
お母さんも、もっと精進します。
あみぐるみのこと
10月、「久しぶりにあみぐるみを作りたい!」という衝動に駆られた。きっかけはPinterestというアプリでたまたま外国のあみぐるみを見たことだった。
↑こんな感じ。
なんだろう、日本のあみぐるみとは雰囲気が違う。フランス、ロシア…Etsyで買えるのか。ちゃんと、購入できるかな?そもそも外国の編み図、読めるだろうか…いっそ見よう見まねで作れないかしら?
なんて自己流で作ってみて、失敗した。
イラストとかと同じでなんというか、一生懸命覚えた時の手癖というか…どうも古いのだ。完成させていないのでお披露目は控えるが、技術はもちろん、デザインも20年前で時が止まっている。
やっぱり本を見ながら編もう。
図書館で借りてきたのは『糸とサイズで楽しむ かぎ針編みのテディベア』
100均で買ってきた毛糸はもちもちした触り心地。絶対あみぐるみに向いている!
で、先述した諸々のアンラッキーを乗り越えてようやく完成させたくまちゃん
できたーー!もっちりあんよがかわいいのだ。
このあんよの編み方、増目、減目の位置でうまいこと足首を作るんだけど、こんな方法、20年前量産していた頃には出会えなかった。なるほどな〜と編みながら楽しかった。そして、かわいい。満足!
子どもたちに名づけを頼むと娘と息子がほとんど同時に「ラッキー」「クッキー」と言ったので、この子の名前は「ラッキークッキー」
ラッキーを運んできてくれますようにという娘の願いと、クッキーが食べたい息子の思いをこめて。
半端なあまり毛糸はあみぐるみに詰めちゃうという知恵を以前羊子さんに教えてもらったのでお腹には綿と一緒に、息子が「ラーメン!」と切って遊んだ黄色い毛糸も詰まってる。ラーメンでお腹いっぱいの食いしん坊くんだ。
あんよが編みあがる瞬間の「ふわーー!かわいい!!」とテンションが上がる感じを味わうためにまた作ろう。
いや〜編み物って癒されますね🧶
うん、かわいい。
やれやれ
10月の息子の運動会以降、日々が怒涛の勢いで過ぎていった。最中には『落ち着いたら書こう』と思っていたものの、一向に落ち着かん!そうしてる内に1か月。
なので、箇条書き。
①運動会疲れか、息子40度の高熱と嘔吐を繰り返して1週間寝込む。
コロナは陰性だったけれど、解熱剤と吐き気止めで乗り切るしかなかった。特効薬がなくて不安になる風邪はコロナだけじゃないよね、と改めて思う。
②息子が回復。登園し始めた頃に、私が息子の風邪をもらう。こじらせて、咳喘息の発作が始まる。
③オーブンレンジから突然火花。
内側背面の空気穴?が錆落ちている。…え?錆落ちる??まだ4年目なのにこんなに腐食することある?前の安物レンジは10年使ってもこんなことにならなかったのに…
火花はさすがに怖いので修理に出す。
④治まらない咳喘息。いい加減肋骨が痛くなってきたのでかかりつけ医に薬をもらおうと行ってみたら、新型コロナ陽性の診断を受ける。
籠る準備をあれこれしてる内に激しい寒気と共に39度の発熱。全身の関節と筋肉が痛くて体が重い。副反応をそっくりそのまま倍にしたような感じだった。その日の夜に息子が嘔吐。微熱があったので私と同じ部屋で隔離。翌々日に夫が発熱。
娘だけが無事だった。私の言うことを聞いて私たちの部屋を覗くたびに消毒うがいをしていた娘と「何やってもどうせ罹る」と何もしなかった夫という違いなのか…はわからない。
家族間で感染を防ぐのは難しいなぁ
⑤愛車がレッカーされる。
ようやくコロナの謹慎期間が明け、陰性確認をした娘が登校。娘の習い事へ車で送迎。
帰り道、エンジン制御の警告ランプが点灯。車が縦にドコドコと揺れ始める。なんだなんだと言ってるうちに、アクセルがスカスカと踏み込めなくなる。時速30キロ。慌ててハザードランプを点ける。後続の車が抜いていく。路肩に停めよう…とブレーキを踏むとブレーキペダルが重い。止まらない。サイドブレーキをひいても止まらない。
あぁ、緩やかな下り坂に入っちゃったんだ。
下り坂の出口は大きな交差点。夕方。交通量は多い。そこにこの状態で突っ込むわけにいかない。ふと、交差点の手前に大きな駐車場のある会社があったのを思い出した。この時間は門が開いていたはずだ。そこに突っ込むしかない。
「お母さん、大丈夫?これ、ヤバい?」
「ヤバい。でも、大丈夫」
門、開いてる!
「とりあえず、あそこの駐車場に避難させてもらうわ。大丈夫」
ハンドルを左にきる。ハンドルロックの警告灯が点灯。アクセルは踏めないし、ブレーキもかからないし、ハンドルまで動かないとかw盛り過ぎでしょ?
車はゆるゆると重みだけで転がっている。固いハンドルをめいっぱいきりながら、どうにかこうにか駐車場の車止めブロックにタイヤをぶつけた。一瞬乗り上げるようにしてバウンドしたけれど、無事駐車することができた。やや派手に斜めだけど、広い駐車場だったのでどなたの迷惑にもならなさそうだ。ホッとする。グッジョブ私!
日本中が皆既月食を見上げる頃、私たち親子はレッカー車を待ちながら、その天体ショーを見ていた。「ありえね〜」と笑いながら。
無傷だからこそだ。本当に家族も、自分も、そして通行のどなたも巻き込まずに済んだのは奇跡としか言いようがない。
神さま、仏さま、ご先祖の皆さま!ありがとう!
命に別条はないのだから大したことはないんだけど、こう毎週のように続くと疲れるものだ。
ところで今年の元旦にひいたおみくじ。
私は「小吉」にしてはさんざん。警告だらけ。とにかく「油断大敵、過信は禁物」らしい。
半年を折り返し、そこまで困ったことはなかったなぁなんて思っていたが、ここへきて畳み掛けるように重なっている。油断、慢心…とほほ
結局、車はイグニッションコイルの破損とバッテリー切れ。翌々日には修理を終えて戻ってきた。そろそろ買い替えなのかもしれない。
そして、諸々が落ち着いたので修理に出していたオーブンを引き取りに行った。こちらは部品の供給がないため、新製品を部品価格で…という話だった。2万円程度で9万円ほどの新型を買えるのはありがたいけれどメーカー保証は部品交換時の「3ヶ月」のみ。
なんだかいいんだか悪いんだかわからない。しかも、故障内容にしか適用しないというんだからまた内部の背面パネルが錆び落ちないとダメらしい。新品が3ヶ月でそんなことになるならメーカーへの信頼はガタ落ちだ。
というわけで、家に持ち帰りしっかりチェック。錆は使用状況にもよるけど、そもそものコーティングに不良がある場合にも起きるらしい。万が一もある。油断は禁物……ある。まさかのコーティング剥げ。マジか。
ほ〜ら、神さまの言う通り♪
たまんないわ。
もうこれきりで、え〜んがちょ!
書き終えたら、全然箇条書きになってないや😅
書きたいことが多すぎて…まとめきれない長文、お付き合いいただきありがとうございます。
運動会
幼稚園の運動会であった。
少し肌寒いけれど良いお天気。
お母さんっ子の息子だが、今年の親子競技は「お父さんとがいい!」と言う。聞けば、どうやら最後に「だいすき〜」とハグするらしく
「みんなの前でお母さんとぎゅってするのはちょっと恥ずかしいから、お父さんがいい!」と言うのだ。
おぉ〜!?もう、そんなことを言うお年頃なのかい??
「お父さん、親子競技、一緒にしてよ?絶対だよ!約束して!」
「もちろんだよ!だいすき〜ってぎゅうすればいいんだな?任せとけ!ちび太はお父さん、大好きだもんな〜」
お父さんも大好きだからな〜とからかうように上機嫌な夫と、何がなんでもお母さんと親子競技をすることは避けたい真剣な息子。
実は、夫。幼稚園の親子競技は初めてなのだ。
上の娘の時も、息子も「お母さんとがいい!」と言っていたので、これまでずっと私が親子競技に参加していた。
照れ屋で外ではクールなおじさんなので息子と一緒に『ジャングルの探検隊ごっこ』…できるのかしら?一抹の不安を感じつつ…
当日。
かけっこ、玉入れ、ダンス。年中さんにもなると少し競技らしくなってくる。
かけっこはビリだったけど、本人が一生懸命練習した通りの走りっぷりだった。他のお母さんに「ちび太くんのスタートの構え!かっこよすぎません!?」と声を掛けられたその構えはほんのり亀仙流。夏休みにドラゴンボール(悟空が筋斗雲にのってる頃)にハマった息子は「ぼく、悟空みたいになりたい!」と練習していたのだ。もちろん、構えだけでなく走り方も。足を上げるだの、できるだけ前に出す!だのお父さんのアドバイスを一生懸命に聞いて、忠実に守ろうと頭がいっぱいになっている走り方だった。ビリだけど、頑張ったので良しだ!
さて、いよいよ親子競技。
「保護者の皆さまは、お子さまの左側にお並びください」と園のアナウンスが響く。息子は園庭に並び、少し心配そうに父親の行方を探している。夫が隣に来ると、飛び跳ねて抱きついた。夫は飛びついた息子を嬉しそうに抱きしめて、手を繋ぐ。
娘が年長さんだったとき、幼稚園最後の運動会くらい、と思い「今年はお父さんとしたら?」と諭したのだ。嫌だとごねる娘の横で「いいじゃん、あなたがすれば」と知らん顔で言っていた夫。
本当のところ、『人前で踊ったりするのが嫌なんだろうな』とその時の私は思ったのだ。なんなら今、楽しそうに息子の手を握る姿を見るまでそう思っていた。でも、本当は娘の希望を何よりに考えただけだったのかもしれない。いや、夫の性格的に人前で…というのを嫌った説が有力だ。でも、もしかしたら
夫に似て、ちょっと照れ屋な息子は夫と手を繋いで安心したようにこの日一番の笑顔で踊っていた。
夫も息子も、なにやら終始嬉しそう。
「これで探検はおしまいです。だいすきのぎゅーで終わりましょう」とアナウンスがあった。音楽に合わせて、親子でぎゅう!
夫にめりこむ息子と息子を抱き締める夫、どちらの顔も見えないへっぽこな写真しか撮れなかったけれど、まぁいいや。些細なことよ。
帰り道、首に金メダルを下げて「お母さんと!」と言い張る息子と私、手を繋いで歩いた。夫は何も言わず、私たちの前を歩く。振り向きもしないのでずんずん離れていく背中。
まったく、子ども思いなんだか自分勝手なんだか…
まぁ、いいか。
おひさまガール
9月9日、娘待望のゲームの発売日であった。
『スプラトゥーン3』
前作が出たのが何年前だったか。娘にとってはほとんど初めてのテレビゲームだ。小学校のうちはスプラトゥーンをもっていない友だちがほとんどいなかったこともあり、娘は小学校転校前も、転校後初めてクラスメイトのお家にお呼ばれした時も、コロナ禍でも…とりあえず「スプラする?」で友だちと繋がれた。そんなゲーム。
その新作、発売直前の前夜祭を経て、娘はうずうずしていた。
娘には最初の小学校に最大のスプラ友だちがいる。小2、小3と同じクラスでスプラを通じて仲良くなり、毎日のように一緒にキャッキャキャッキャと作戦会議やオリジナルの敵を考えたりしていたそうな(その時の自由帳やプリントの裏のイラストは今でも大事にとっている)転校後も何度か遊びに来てくれて、中学校で再び同じ学校に通えることを娘はそれはもう、楽しみにしていた。その彼女が入学からぽつりぽつりと休みがちになり、2学期になってからどうやらずっと休んでいるようなのだ。
一番話したい友だちと話せない。
前夜祭でうずうずしていた気持ちは、手に入れたソフトをプレイするうちに爆発した。
「あーーこんな時はスマホ、欲しくなるね…話したいことが、止まらないのに!!話せる友だちがお母さんしかいない!あ、お母さん友だちじゃないけど。あーーーー!!!」
「そんなに話したいことがあるなら、手紙でも書いたら?」
あ!と自室に飛び込み、娘は一気に手紙を書きあげた。
よせばいいのに、ふと気になり「話したいから学校に来て、みたいなこと書いてないよね?」と聞いてしまうと
「学校のこと?書くスペースないもん。あ、◯ちゃん(共通の友だち)が生徒会立候補したことだけお知らせしとこ」と返事。
娘ののーてんきにほっとする。
「へへへ。昔、一緒に描いた絵も入れとこ。覚えてるかな〜」
そんな感じで手紙を送った。返事はない。
スプラで合流プレイしたいね…と手紙に書いたらしいがタイミングが合わないのかなかなか会えない。そうこうしているうちに中間テスト期間に突入してしまった。
そして昨日「びっくりしたよ〜なんか突然、Aちゃんの担任の先生に声かけられてさ」
娘の手紙を受け取った友だちが「学校に行ってみようかな?」と言ったことを喜んだ親御さんからお礼を伝えてほしいと連絡があったのだそうだ。
「学校に行く気になるようなこと、なんも書いてないんやけど…?」と戸惑う娘の話を聞いて、私はただただ嬉しかった。
「さすが、娘!世界をほんの少し明るくしたね」
「意味わからんけど」
「たぶん、あなたの手紙を笑って読んだんだよ。会いたいな〜て気持ちが届いたんだよ。ほら、あなたの周りの世界がほんの少し明るくなった感じじゃない?」
娘は、えー?だの、大袈裟すぎるだのぶぅぶぅ言っていたが笑っていた。思わずこぼれた言葉だったからうまく説明できなかったけれど…娘と娘の大事な友だちが笑っていれば、少なくとも私にとって世界は明るい。
「ただいま〜」と夫の声が聞こえるなり娘が言った。
「お父さん、私がほんの少し世界を救ったって話、聞く?」
「ん!?」
おや?ほんのり、厨二のかおり。