くまんち

なんてことない、日々のこと

妹の結婚

年の離れた妹がこの度、結婚するらしい。
 
婚約者を連れてうちに来るというので、一ヶ月前から大わらわ。
 
まず髪を切った。肩まで伸びた髪を、ショートボブに。
 
え?いや、なんで髪って…わからないけれど、ナメラレナイヨウニ?誰に?いや、わからない。
たぶん、動揺を抑えるためだ。
 
そもそも妹に会うのだって、5年ぶりなのだ。
久しぶりの再会が婚約者連れって…
姉の人見知りっぷりをナメんなよ!年取って修得したのは人見知りしてないように取り繕う術のみ。
…うぅ、お腹痛い。
 
同じく人見知りの夫は当日朝から書斎に篭っている。
「わざわざ挨拶に来んでも…結婚式で会えばいいやん…」
(心の声は心にしまって!!)
 
部屋は片付いた。トイレも掃除した。床も拭きあげた。
ケーキを買ってそわそわと妹たちの到着を待つ。
 
「私、何したらいいかな?ゲーム、一緒にするかな?マリオカートとか?」
 
娘なりに何かしらもてなそうと思ったらしい。
 
「いつも通りでいいよ、ポケモンでもしてたら?初代ポケモン世代だから最新のポケモン、びっくりして喜ぶよ」
 
「でも、ポケモンって一人プレイだから…」
 
「いいんだよ、こういうのは特別に何かしたりしなくて。へんに身構えない方がいいんだ」
 
そうそう…とソファに寝転ぶ夫を見ると、靴下に穴。それもかかと丸出し!!
 
「ちょ!靴下、履き替えて!!よりによってなんなの、その穴!!」
 
「いいんだ、平常どお…」
 
「いや、そんなの平常でもないし!!誰もつっこめないから!!」
 
「誰も足の裏なんて見ないよ」
 
「見えないレベルじゃないってば!!」
 
謎の大物感を出してくる夫の靴下をもぎ取り、洗濯機に投げ捨て、新しい靴下を夫に投げつけた。
 
 
そんなこんなで
 
 
私とは正反対の妹。
明るく快活で人を笑わせるのが大好きで、だから他人に弱味が見せられずに無理ばっかりするおバカな妹が、のびのびと実家のように振る舞っていた。
それを穏やかに見つめる婚約者。
 
あぁ、そうだね。あなたにはそういう人がいいよ。ちゃんと見つけたんだね。
 
「妹をよろしくお願いします」と言おうと思っていたのに、すっかり忘れていた。
 
それでも
「ま、いいか」と思えるような妹の笑顔だった。