かみあわない夫婦
「突然やけど、明日リモートワークになった」
おぉ、ついに…
夫の職場、初の在宅勤務。
朝、子どもたちを送り出し、夫は書斎に籠る。
普段いない夫がいるって、煩わしいものかしら?なんて少し身構えていたけれど、籠っているからか思いの外気にならない。気にせず、洗濯、掃除といつものルーティン。
「今日のお昼、何?」
突然の在宅勤務だもの、何の準備もない。
「炒飯みたいなのでいい?」
「ん」
コーヒーを飲み干して休憩おわり、とまた部屋に籠る。
しばらくすると「腹減ってきたーー」と2階から声。
「もうできるよー」とフライパンからご飯を移す。
階段を降りた夫と二人でご飯。
おや?何年ぶりだろう。
雨降るね、とか子どもたちは何時に帰ってくる?とかたわいないことを話しながらご飯を食べてごちそうさま。
「ちょっとコンビニ行ってくる」
「はいはい」
やれやれ、子どもの前では自分で片付けるのにね…と夫の食後のお皿を片付けていると再び玄関から
「行ってくるねー」
「は〜い…え?どっか遠くに行くの?」
「コンビニ」
?
「うん、行ってらっしゃい。気をつけてね」
(あ。お見送りしなかったからかな?…今、書きながら気づいた。ごめん、夫)
「プリン買ってきた。冷蔵庫、入れとくね」
「ありがとう。子どもたち、喜ぶね」
「俺、今から食べるけど…あなたの分もあるよ。プリンと杏仁豆腐があるから、好きな方食べたら?」
「ありがとう!ん〜子どもたち、最近セブンの杏仁豆腐、気に入ってるみたいだし…私はプリンにしよっかな」
「ん…好きなのにしたらいいよ」
冷蔵庫を見ると、杏仁豆腐1つと4連のプリン。
4連はみんなで食べたらいいよね。
杏仁豆腐は子どもたちが半分こってことかな?
あれ…私の分?ま、いっか。
「子どもたちが帰ったらみんなでおやつにしようね♪」と夫がプリンを食べる傍で私はコーヒーを飲んだ。
…
夫の意をまーーったく汲めていなかったことに気づいたのは、その夜、お皿を洗っている時だった。
私も杏仁豆腐が好きだってこと、覚えておいでだったのね。
あなたはちゃんと私のことを
ご、ごめん…スットコドッコイな妻でごめん。
その上、『気づかなくてごめん、ありがとう』も念で送るだけの妻でごめん。受信して。ピピピ
お母さん脳を切り替えるって難しい。