くまんち

なんてことない、日々のこと

家出未遂

「お母さん、一人で帰って!」
 
息子はぷんすか仁王立ち。公園の入り口から動こうとしない。といっても、公園で遊びたいからというわけではない。
これはおやつタイムへの抗議。デモなのだ。
 
おやつはお姉ちゃんが帰ってきたら、というのが我が家のおやつルールである。
彼の帰宅は15時半。お姉ちゃんの帰宅が16時。
その30分の我慢が積もり積もって、今日という今日は!とキレたらしい。
 
「お母さんバカ!!ぼくはもう帰らないよ。ここで暮らす!」
 
えぇ…
 
「もう!早く帰って!!…行けよ!」
 
親の私にしてみれば、何をそんなに…だけれど、ちびにとっては家出を決意するほどのことらしい。精一杯のワルな言葉で怒っている。
 
「ここで、寝るの?」
「そう!」
「あのベンチで?それとも…あ!すべり台?楽しそうだね、冷たいかな」
「……」
「トイレはあるね。ご飯はお弁当箱に詰めて持ってくるとして。寒くないかなぁ…お母さん、毛布持ってこようか」
 
険しい顔で公園をうろうろ。
「…お砂でベッドつくるからいい」
「そっか」
「……お母さん、お母さんも一緒に!寝てよ!!」
 
本末転倒(笑)
いや。笑わないよ、真剣だもんね。
 
「もうすぐお姉ちゃんも帰ってくるんじゃないかな?お家でおやつにしない?」
 
「…わかった」
 
渋い顔で返事をして、差し出す私の手を無視してさっさと家へ向かう息子。でも、追い抜き際の顔はホッとしたように穏やかだった。
 
すっごく怒ってたんだもんね。
簡単に甘えたり、にっこりしたりできないよね。
 
 
やれやれ、君の意地っ張りは誰に似たのやら。